イギリス人の従姉妹が日本に来たときのこと

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

イギリス人の従姉妹が日本に来たときのこと

イギリス人の従姉妹が日本へ来ることに

私は、現在、51歳の無職の女性です。昨年の夏、夏休みを利用して、イギリス人の従姉妹が久しぶりに日本に観光にやってきました。彼女が日本に滞在した2週間うち、私と一緒に過ごした3日間のエピソードをご紹介したいと思います。

従姉妹の名前はリンダといいます。生まれてからずっとイギリスに住んでいます。 リンダは私の母の妹の子供です。叔母は、もうすでに亡くなってしまいましたが、戦時中に岩国で働いていて、イギリス人パイロットの男性と知り合いました。そしてその男性と恋に落ちて結婚し、イギリスにお嫁に行ったのです。ですので、正確には言えば、リンダはイギリス人と日本人のハーフです。

リンダと私は6歳違いで、リンダが年上です。私たちは直接会う機会はありませんでしたが、子供のころから、イギリスにリンダという名前の従姉妹がいることを母から聞いていましたし、私が大人になってからは、毎年クリスマスの時季になるとリンダからクリスマスカードが届くので、私も英語で手紙を書いたりしていました。

そんなリンダが日本にやってくるということで、母や叔母や他のいとこ達もとても喜んでいました。
私にとっては、初めての従姉妹との対面でしたので、「どんな顔をしているのだろう。どんな風に接したらいいのだろう。私のつたない英語は通じるだろうか」など、いろいろ考えてドキドキワクワクしていました。

親戚一同で歓待

いよいよリンダが日本に到着し、親戚一同が父の家に集まり、皆でリンダを歓迎しました。私の叔父は英語が全く話せませんでしたが、冗談も交えた片言の日本語英語でおもてなしをしていました。

叔父はお酒が好きな人で、その時もスコッチウイスキーを飲んでいました。そして、「リンダ、スコッチをすこっち、飲むね」などと、とてもつまらない親父ギャグを連発していました。そんなのイギリス人のリンダに分かるはずないのに・・・と呆れていたところ、なんとリンダは、涙を流しながら大笑いしたのです。

私はその時、「この親父ギャグ、リンダにちゃんと通じてるの?日本語は分からないのだから、意味はわかってないはずだけど…。」と心の中で思ったのですが、リンダがあまりに大爆笑するので、言葉は分からなくても、雰囲気で面白さが伝わっているんだなと感じました。

言葉が分からなくても、話している人の笑い顔や表情・ジェスチャーを使えば、伝えたい思いは十分相手に伝わるということを、私はその時初めて実感しました。私も片言の英語でリンダと話したのですが、それでも充分リンダと心を通わせることができたのです。

また、リンダと私は赤の他人ではなく、血が繋がっていることもあり、言葉は分からなくても、雰囲気で気持ちを伝えることができたのではないかとも思っています。全く他人で初対面の外国人だったら、こうはいかなかったのかもしれません。

叔父はリンダに、亡くなったリンダの母親について話をし、叔母がイギリスへ渡ったばかりの頃の写真をリンダに見せました。その写真は見たリンダは、目にいっぱい涙をためて「ありがとうございます」 と日本語で言ったのです。 その様子を見た私は、「リンダって 感情が豊かな人なんだな」と思いました。

お別れの日・・・

3日間の滞在を終えてたリンダを駅まで見送った際には、私が日本語で「ありがとう。また日本に来てね」と言うと、リンダはその時も涙で顔を拭いながら、「はい、ありがとう」と言っていました。その様子を見た私もリンダと別れるのが辛くなり、涙が出ました。

リンダは、「日本人は、どこに行ってもとても親切で優しくて、感動した」と私に話してくれました。
私は、リンダがある意味では日本人よりも日本人らしく、感情の豊かなに人であったことに感動し、彼女の事を今でも懐かしく思い出しています。