韓国出身の御講師

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

韓国出身の御講師

韓国人の御講師の話

私は28歳のフリーターです。今回紹介するエピソードは、お寺の御講師のお話です。

このお寺では毎月、御講師が各信者さんのお宅に来て、様々なありがたいお話をしてくださる「御講」が奉修されます。今月はたまたま親戚の家で奉修されることになりました。そして当日は新年最初の御講で、新年の挨拶も兼ねて、私も一緒にお話を聴聞させていただきました。

そして御講後、その親戚の家の2階のリビングで、新年会を開催することになりました。その親戚は、毎年一月に必ず御講師や信者さん達のために御供養(夜ごはん)を料理してくれるのですが、今回はそのメニューがてっちりでした。てっちりは時間がかかるため、まずは代表の方が乾杯の音頭をとり、お酒と前菜の黒豆、まぐろの刺身、信者さんからいただいた白和えをいただき、てっちりが出来るのを待ちました。そして、お待ちかねのてっちりが出来上がると、みんなでいただきました。

親戚は毎週土曜日に行きつけの魚屋さんで、フグを購入します。そこの魚屋さんのフグは特別に美味しくて、みんなうれしそうに食べていました。そして、普段はなかなか行事に参加しない父も、新年だからということで行事から参加してくれました。

お酒も入り、かしこまった席から和やかなムードに変わりました。やがて御講師との話の流れで、日本人は建前と本音を分けて使うという話になりました。御講師の出身地は韓国ですが、私が小学生の時にはすでに今のお寺に御講師として務めていました。そして、去年より受け持ちの教務として、私達の区域の責任講師として赴任されています。ですから、その方と私の関係は御講師と信者の関係になります。

宴会の中での御講師の一言

するとその御講師は『私は建前は嫌い。本音がいい。』ときっぱりと発言されたのです。もちろん私も建前を使うのは大の苦手です。それに加え、社交辞令もお世辞もめったに使わない性格です。しかし、そう思っていても、何のためらいもなくバシッと発言する御講師を見て、やはり日本人として生まれ育ってきた我々とは違うなと思いました。

その御講師は来日されてから結構経ちますが、考え方の根っこは韓国人なんだなと文化の違いを現した発言だと思いました。ちなみにその御講師は、お酒も食べ物も大好きで、てっちりの締めの雑炊を召し上がる際に、親戚の叔母に漬物が欲しいと言っていました。(すぐさま複数の漬物を提示する叔母は流石と思いました。)

また、区域によって雰囲気が違うようで、酔いも回っていたのか上機嫌で、この区域の信者さんとは本音で話し合えるからいいですねぇと言っていました。おそらく私達を喜ばせるリップサービスだったと思いますし、建前が嫌だと言っている割にはそのようなお世辞を言ったりして、やはり職業柄、多少は建前も使わないといけないので訓練されたのだなぁと感心しました。

実は巨漢な御講師

話は変わりますが、その御講師はズボンのチャックが閉まらないほどの巨漢で、いつもサスペンダーをしています。夏になると、信者さんの家に上がって戒壇に手を合わせるときは扇風機を自分専用に回してほしいと言ってきます。それは日本人とあまりかわりありませんね。あと、お世辞が嫌いゆえに親しい女性の信者さんに『豚鼻』を示すポーズをしてからかってくるのですが、これは日本人男性にはなかなかできない芸当だなぁと思いました。もちろん、その女性も負けずにそのお講師が巨漢であることをネタにして笑いをとっているのであいこではありますけどね。

そんな愛されキャラの御講師ですが、今月3月末で私達の区域の責任御講師としての公務を終えられるので、とても寂しく思っています。2年前に赴任なさったときからいままで、長いようで短い間だったなぁと今は思います。離れ離れになってもお寺に参詣すれば毎日受付にいらっしゃるので会えますが、どうか巨漢が少しでもスリムになって健康的な体になることを願ってやまないです。