フィリピン人のホームパーティ

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

フィリピン人のホームパーティ

フィリピン人の友人がホームパーティを開くことに

わたしは24歳男性で、ボランティアスタッフをやっています。これは、わたしと友人のフィリピン人との話です。

フィリピン人の彼は30代で妻と子供が2人おり、給料の良い技術職についていて順風満帆という言葉が似合う一家の大黒柱でした。そんな彼と休みを合わせて久し振りに会い、お互いの近況を報告し合っていた時のことでした。

彼が突然「最近仕事で忙しかったからストレス発散に俺の家でホームパーティーをしたい。よかったら君の友達をうちに招待してくれないか?」と頼んで来ました。ストレス発散にホームパーティーとは豪快なフィリピン人っぽいなと思っていました。わたしも久し振りに彼の家に行きたいと思っていたところだったので「いいよ、何人くらい呼べばいい?」と気楽に返事をしました。

その時でした。彼がこんなことを言ったんです。「うーん。50人くらいかな。できれば60人以内で」と。その時わたしは目が点になっていたと思います。50人はちょっと、日本の常識からしておかしいでしょう、と思っていたからです。

もしくはわたしが聞き間違えたのだろうかと思い、一応確認をしました。「えっと、フィフティーン(15)だよね?」「いや、フィフティ(50人)だけど」聞き間違いではありませんでした。彼は本気で自宅に50人を招待しようとしていたのです。

確かに彼の家は広いのでキッチンとリビングを解放すれば50人、60人くらい招待するスペースは十分用意できますが、それはもはやホームパーティーではなく結構規模の大きいパーティーです。しかも動揺するわたしを尻目に彼は「あ、君が呼びたいならもっと多くても多分大丈夫だよ。いっぱい招待してね」と笑いながら付け加えてきました。

50人超のホームパーティを予定

彼は笑ってはいましたが、冗談を言っているわけではなさそうです。というかわたしにそんなに多くの友達はいません。フィリピン人友人の器の大きさに驚いていると、彼はわたしの驚いている様子に気付いたようで「何かおかしなこと言った?」と聞いて来ました。

わたしは自分が感じた通り、普通の日本人は50人も呼んでホームパーティーしない、というかできないと伝えました。すると彼は「フィリピン人では毎週末ホームパーティーをやっていて、50人くらい呼ぶのは当然だった」と笑いながら教えてくれました。「日本人は少人数のホームパーティーが好きだよね」とも言っていました。

フィリピンは家族やコミュニティ意識が強いらしく、親戚や近所の人を呼んで大人数でホームパーティーをするのはごく普通のことらしいです。それでわたしは「でも毎週それだと疲れない?」と尋ねました。すると彼の返答は「別に全然疲れないよ。多ければ多いほど俺は幸せさ」と答えました。日本人には真似できないこの人間としての器とスケールの大きさが彼の発言からにじみ出ていて、彼が誰からも好かれる理由を改めて知ることができました。

フィリピン人の器の大きさに感服

ちなみにホームパーティーの当日。わたしは頑張って20人ほど招待して彼の家を訪問しました。彼のフィリピン人の奥様に出迎えられて家に入ると、玄関に脱ぎ捨てられた大量の靴を発見しました。まさかと思ってリビングに行くと、すでに彼の友達と近所の人が40人ほど座ってビールを飲んでいるところでした。

つまり、もしわたしが60人呼んでいたら100人超えのパーティーになっていたということです。すでに家の中は熱気に包まれて盛り上がっているところで、彼も奥様も子供達もみんなニコニコしています。輪の中心にいた彼の肩を叩いて話しかけました。「よう、とりあえず20人連れてきたけど」「おお、遅いじゃないか友よ。もうパーティーは始まってるぜ、楽しもう!」言いながら、彼とその仲間たちはわたしたちを輪の中に迎え入れました。本当に、彼の器の大きさには敵いません。