アメリカ人の恋人
現在、30代の子育てに追われる主婦です。今から紹介するエピソードを経験したのは、20代前半の大学生の頃です。当時、3年間交際していた2才年下のアメリカ人の彼氏の発言があまりに面白くて衝撃的だったので紹介することにしました。
彼氏は、当時日本に来て5年目で日本語はかなり上手でした。英語教師の仕事をするかたわら、外国人向けの日本語学校に通っていたので、日本語の伸びはかなり良かったと思います。私は、当時大学生だったのですが、彼と交際していることを周りに言っていたものの実際に紹介する機会はありませんでした。
いざ、友人に彼をお披露目
ある時、仲の良い友人同士で開いた忘年会で、友人が彼も呼んでほしいと言ったことがきっかけで、彼を会わせることになりました。いつもは彼と二人きりで過ごすことがほとんどであったため、友人たちの前でどのような態度をとるのか予想することができず、内心ドキドキしていました。
居酒屋での忘年会が始まり、少し遅れて現れた彼。皆に、日本語で自己紹介して、「わー、日本語上手」などと褒められていい感じのスタートでした。そして、一人の友人が「(私の彼氏の名前)さんは、背も高いしカッコいいね」と彼を褒めたことがきっかけで爆笑の嵐となりました。
日本人であれば普通ここで、「えー、そんなことないですよ」と否定しますが、アメリカ人の彼は、自信たっぷりの笑顔で「分かってる。ありがとう。」と返したのです。予想外の返事に、友人たちもびっくりで皆大笑い。
すると彼は、続けて「(私の名前)ちゃんもとても可愛いし、俺たちはお似合いのカップルだよね。」と言ったのです。これには友人たちも私も、一瞬どう反応していいのか分からず、少し間が空いてから再び笑いの嵐となりました。
彼は、そんな私たちの反応を不思議そうに眺めて、「何がそんなにおかしいの?」と真顔で聞いていました。その場では彼に何も言わなかったものの、内心「謙虚心なさすぎだよー。普通ここまで自信持って言うかー」と、つっこみたくなりました。
食べろと言われ食べて、何がおかしいのか・・
また、その後、皆で注文した料理を分け合って食べようとなった時に、友人が「(彼氏の名前)さんも遠慮せずにいっぱい食べてね」と言ったのですが、彼は本当に周りに遠慮することなく、自分が気に入った物をガツガツ食べていました。
そのため、料理もすぐに無くなってしまい、さらに皆で他の料理を注文するハメに。友人たちはとても親切で「食べっぷりのいい彼氏だねー」と笑って言ってくれたのですが、私は正直少し気まずくて、「もー、ちょっとは周りにも気を遣って少な目に食べてよ~」と彼氏にお願いしたかったです。
後で二人きりになったときに、彼に「日本ではふつう、褒められたら『そんなことありません』って否定するものなんだよ」「好きなだけいっぱい食べていいよって言われても、周りに気を遣わなくちゃ」と言うと、
「それはおかしい。カッコいいのは自分でも分かっているし、ありがとうと素直にお礼を言う方がいいんだよ」、「皆、あまり食べていなかったから、お腹すいてないのかと思って俺が食べたんだよー」と悪気そびれた様子もなく言っていました。
奥ゆかしさは、通じないのだろうか
そんな彼氏を見て、外国人ってやっぱりストレートで、周りくどい言い方は通じにくいのだなと実感しました。日本人が美徳とする謙虚さは、外国人には理解しにくい面があるのかもしれません。
彼も、「どうして日本人はあんまり親しくない人にも『いつもお世話になっています』って言うの。」「プレゼントをあげるときにも『つまらないものですけど』って言うし、ちょっと変だと思う。」と言っていました。
彼に言われるまではそれが当たり前だと思っていたので、違う国や文化を持つ人の視点から日本の文化や常識を見ることは面白いなと思いました。