ベトナム人青年の温かい言葉

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

ベトナム人青年の温かい言葉

国際交流イベントでのこと

私は現在35歳、フリーライターをしています。このお話は、私が30歳頃にお寿司屋さんで働いていた時に「思わずクスッとしてしまった」そんな体験、実話です。

当時私の住んでいた田舎町では、毎年「国際交流ボランティア会」と言う地域イベントが開催されています。そこでは、様々な国から勉強や出稼ぎなどで家族で移住してこられた方々と町の日本人住民が、共に楽しく過ごす「お喋り&お食事会」の時間を設けています。参加者は、インド人・韓国人・中国人・ベトナム人・イギリス人・フランス人などなど、本当にたくさんの方々がいらっしゃいます。

私がとくに、思わずクスッとしてしまったのは、ベトナムから来た青年たちのお話です。ベトナムの青年たちが日頃の感謝をこめて、仕事でお世話になっている会社の社長に「謝辞」を読むコーナーがあったのです。社長はもちろん日本人で、おじいちゃんです。

壇上に上がって、彼らは覚えたてのつたない日本語で懸命に謝辞を述べます。私は必死に聞いていましたが、いきなり会場に居た皆さまが一同爆笑をしたのです。その謝辞の内容は…「社長、とても優しい。マムのこ飯美味しい。でもただね、言葉聞き取れないね。変ななまりがあるからぁ。だから怒っているか~喜んでいるか~わからないてす。」と言う、接続詞や濁点などが無い、とてもシンプルで優しさがこもっていた内容だったのを記憶しています。

頭をポリポリと掻きながら、恥ずかしそうに読み上げていたのを覚えています。社長も彼等と共に顔を真っ赤にしながら、「俺は何ひとつ悪くないんだがね~」と大笑いしていたのです。そこでまたクスッとしたのです。まさしくこれが、国境を超えたファミリーです。

日本語は確かに難しいし、住む地域によって「独特ななまり」があるので、私はなんだか心がホッコリして、愉快に笑いながらも涙が出てきたのを覚えています。

べトナム人の彼らの言葉に感動

壇上から降りて来た彼等に、私は勇気を出して「日常での会話が成り立っていないことに、不安を感じたりはしないのですか?」と質問をしてみたところ「僕らにはパパがいますからね。マムのこ飯で仕事かんばれますからね。国のフレンズ思いたしたら~かんばれますね‼」と勇敢で優しい言葉が返ってきたのです。もうクスクスッを通り越して、胸がジ~ンとしてしまったのを覚えています。

その彼等から、日本で暮らしていて驚いたお話を教えて頂いたのですが、なんと言っても一番驚いた事は「親切・丁寧」と言う事だったのを記憶しています。買い物やバス等の乗り物、それから交通ルールなど…分からない事は恥ずかしい事だ!と見下したりせずに、わかるところまで寄り添って教えてくれるところに「感動しましたね~」と言っていたのです。

当時、ボランティア会場に居た海外から来た皆さんが口を揃えて言ったせりふが、その「親切・丁寧」の言葉だったのです。私も心に温かみを感じて「何か、やるべき事をきちんとしなければいけないな。彼らに失礼になるような言動は慎まなければならないな。」と、幸せ感と同時に、気持ちを引き締めて日本人らしく誇りを持って生きてゆくべき!と、改めて感じさせられました。

海外からの人たちの言葉で心が引き締まる

とても有意義な時間を、田舎町のボランティア会場で過ごし、そしてたくさんの「クスッ」と言う笑いと、為になる学びを得ることが出来たのです。まさに「国際交流は学舎だな!」と感じ、5年経った今でも感謝をしています。

今現在、私はその町から引越しをしてしまったのですが、またこのような「国際交流会」のような催しに巡り逢えた歳には、彼らの優しい照れ笑いの「クスッ」を思い出しながら、元気良く参加をしたいと思っています。海外から来て下さった皆さま、有り難うございます!