「ハチマキ」「手ぬぐい」「豆絞り」

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

「ハチマキ」「手ぬぐい」「豆絞り」

フィリピン人のママ友の話

私は50代の主婦です。10年前のことになりますが、ママ友のひとりにフィリピン人の方がいました。彼女は20代で日本人と結婚して、2児の母として主婦をしていました。

彼女は日本語を話すのも読むのも上手でした。漢字を書くのは難しいようでしたが、ひらがなは完璧でしたし、すっかり日本の生活に馴染んでいて、おしゃべりしていても違和感がありませんでした。
ある日、私が幼稚園に子供を送り届けた後のことです。この幼稚園では、子供を送り届けた後で、保護者への連絡事項が貼り出されている掲示板を見ることになっています。たとえば、子供が工作で使うために必要なものを準備してくださいということや、インフルエンザが流行しています、○日は参観日ですなどのお知らせなどが貼ってあります。フィリピン人のママ友は、いつもきちんと読んで内容を把握しているようだったので、特に気にかけていませんでした。

ところが、この日の掲示板には「運動会のダンスでは、ハチマキをして踊ります。豆絞りの手ぬぐいを用意してください。」とありました。さすがにこれは、外国人ママには難しい!フィリピン人のママ友は「ちっともわからない」と言っていました。「ハチマキ」や「手ぬぐい」自体も何を指すのかよくわからないようでしたし、「豆絞り」に至ってはこちらも説明のしようがありません。ドット模様の昔のタオルって言っても何か違うような気がしました。

なんとも説明が難しい日本独特のアイテム

豆絞りの手ぬぐいは、近所のスーパーのハンカチ売り場の片隅に売っていましたが、その売り場にたどり着くのも大変だし、彼女にとっては店員さんに聞くことさえも難しいかもしれません。数人のママ友が集まって、いろいろと日本語を工夫して彼女への説明を試みましたが、内容をしっかり伝えるのは無理でした。「仕方がないから一緒に買いに行こうか」などと考えていると、一人のママが「うちにたくさんあるから、あげるよ。明日持ってくるよ」と言ってくれました。お祭りに使うので彼女の家にはたくさんあるそうです。確かにそれが一番間違いないです。店員さんに聞いて出してもらっても、それがあっているかどうかの判断が、彼女にはつかないですからね。

後日談となりますが、運動会は豆絞りの手ぬぐいをハチマキにして子供たちはかっこよくダンスをしていました。フィリピン人のママ友もとても喜んでいて、良かったです。
このように、日本独特のものは、外国人に対しての説明が難しいです。着物やお寿司などは有名になったので知っている人がほとんどですが、細かい日本の文化は説明するのがとても難しいです。

文化も生活習慣も違うのに、フィリピン人のママ友は日本語をしっかり覚えて、日本に馴染んでいるので、すごいなと思いました。きっと、いろいろなことに驚いたり、戸惑ったり、努力したりしているんだろうと思いました。一生懸命な頑張り屋さんだなと感心しました。

日本の自動販売機は平和の証拠?

ちなみに、そのフィリピン人のママ友は、日本には街中にたくさんの自動販売機があることにとても驚いていました。お金の入っている自動販売機が人目のないところに置いてあるからです。治安の悪いところなら、すぐに壊されてお金や商品を持っていかれてしまうので、日本は治安の良い国なんだと感心したと聞いて、そういうこともあるのかと思いました。また、外国に比べて日本の自動販売機は種類も豊富なのだそうです。たしかに、ジュースやお酒、アイスクリームやお菓子、タバコなどをよく見ますし、変わったものではパンやバナナの自動販売機もありますね。ああいったものは、外国では考えられないそうです。フィリピンでは、お酒やたばこは子供が買ってしまう可能性があり犯罪の原因にもなるので、お店での販売でもすごく厳重に管理されているのだそうです。