オーストラリア人のおおらかな感覚

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

オーストラリア人のおおらかな感覚

妹が国際結婚

私には二人の妹がいます。すぐ下の妹はオーストラリア人と結婚して、オーストラリアに住んでいます。

妹は、ワーキングホリーデーでオーストラリアを行き来している間に彼と出会い、付き合い始めました。やがて彼は日本にも何度か遊びに来るようになりました。両親は、最初のうちこそ言葉の壁や文化の違いなどで不安そうにしていましたが、彼のとても優しくおおらかで人懐っこい性格に、いつしか不安も解消されたようでした。

そして今から7年前、彼が33歳、妹が29歳のとき、彼と一緒にワーキングホリデーから帰国した妹が、彼と結婚したいと言いました。最初にそれを聞いた時は少なからずびっくりしたのですが、昔から英語を勉強したりアメリカンスクールの幼稚園で働いたりしていた妹です。姉である私には彼女の気持ちがすぐに理解出来ましたし、彼もとても良い人なので、大いに賛成でした。

ですが、相手は外国人。結婚となればいろいろな苦労も予想されることですから、両親は当然猛反対かと思ったのですが、意外にもあっさりと賛成。こうしてめでたく二人の結婚が決まりました。

オーストラリアで結婚式

結婚式はオーストラリアで行うこととなり、家族と近しい友人でオーストラリアに行くことになりました。私はオーストラリアに行くのは初めてですし、何よりハウスメーカーの営業をしているので土日を休むのには抵抗があったのですが、やはり妹の結婚式ですから、何とか2週間の休みを取りオーストラリアへと向かいました。

オーストラリアのゴールドコーストに到着した日本からの一行を、彼が笑顔で出迎えてくれました。15人乗りのハイエースに総勢12人が乗り込み、会員制のライフセービングクラブにて朝食をいただきました。

そこで出会った得体のしれないペースト状のものがあります。パンに塗って食べるのだと言うのです。正体は不明だったのですが、すすめられるままにパンに塗り口へ運んだのですが、何ともおいしくないのです。はっきり言ってしまうと、まずい。そしてしょっぱくて、臭い…。

これはベジマイトと言う発酵食品でした。感覚的には日本の納豆のようなものでしょうか。(味は全く違いましたが。)

そして本当に一人前なのかと疑うような、サラダやベーコンエッグパンケーキなどをいただき、食後のコーヒーを飲みながら、サーファーズパラダイスのビーチが一望できるテラスでのひと時を過ごしました。

彼が自分の育った街を案内したいと言ってくれたので、私たちは彼の案内で彼のおすすめスポットに連れて行ってもらいました。

その道中、有名なサーフポイントに立ち寄り、高台から綺麗なサファイアブルーの海を眺めていると、不運なことに、突然雨が降ってきたのです。私たちは雨を避けるために急いで車の中に逃げ込みました。ところが彼は一人で雨に濡れているのです。

雨なのに車に乗らない彼

私は「雨が降ってきたから、早く車に入りなよ」と言ったのですが、彼の反応はと言うと…「Why? just water. 」だったのです。「どうしてだい?ただの水じゃないか。僕は平気さ」と。

この時、私はとても驚きました。日本人なら雨を避けようとするのは普通のこと。ですが、彼らは大騒ぎするなよ、ただの水なんだから大丈夫だよ、という感覚なのです。オーストラリアは、面積が日本の20倍もありながら、人口は日本の5分の1。彼のおおらかな性格も、優しさもこんなところから来ているのかなと思った瞬間でした。

さて翌日、チャペルでの結婚式とホームパーティーが華やかに盛大に行われました。帰りの飛行機が欠航になったり(欠航理由は、なんと「パイロットが来ない」という事でした)、荷物だけが別の空港に行ってしまったりと、最後まで驚きの連続でしたが、とても楽しく想い出に残る結婚式でした。

今では、妹夫婦は甥っ子を連れて年に1~2回は日本に帰ってきます。その時はオーストラリア人の義弟と浅草でもんじゃ焼きを食べたり上野のガード下でお酒を飲んだり、夏には千葉の海へサーフィンに行ったりと毎回楽しく過ごしています。

私がベジマイトがダメだったように、彼もまた、納豆が食べられないのですけれどね。