日本人より日本人なルームメイト

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

日本人より日本人なルームメイト

ルーマニア人留学生とのルームシェア

私は現在20歳、大学2年生です。私の通う大学には世界中から集まったたくさんの留学生がおり、授業やサークル活動などで私たちと生活を共にしています。

私は入学したての時、ルーマニア出身の3年生の留学生と同じ部屋に住むことになりました。人生で初めてのルームメイトがルーマニア人ということにとても戸惑いましたが、とても気さくに話しかけてくれたので安心しました。

彼女はルーマニアの大学で日本語専攻ということもあり、とても日本語が上手でした。そして一緒に過ごすにつれ、彼女の日本好きがどんどん明らかになっていきました。

まず彼女は自分の着物と浴衣を一式持っており、自分で着ることができるとのことでした。私は日本人であるにも関わらず、着物はおろか浴衣を着ることも自分ではできません。

彼女に浴衣を着せてもらい、帯を結んでもらった時はとても複雑な気持ちでした。彼女は、さすが日本人が着るのが一番映えるねと言ってくれましたが、これを着せてくれたのはあなただよ!とツッコミたくなってしまいました。

また別のある日、彼女が茶道部に所属していることがわかりました。ということは、お茶をたてられるのかな…と思っていたところ、私の目の前でお茶をたててくれました。恥ずかしながら私は、茶道を直接見たのはそれが人生初でした。お茶碗を持つ向きにも決まりがあるらしく、こうやって回して飲むんだよと教えてくれました。

一体どっちが日本人だ、と思いたくなるくらい彼女は日本文化に精通していました。

「雪女」「黒い雨」

共同生活も終わりに近づいた学期末、彼女が日本語の課題を見てほしいと言ってきたので見てみると、なんと怪談の雪女を読んで要約と感想を書くというものでした。その文章レベルの高さにびっくりし、また多少助詞などの間違いはあれど、彼女の書いた文章がきちんと意味をなしていることにただただ驚きました。

日本語専攻とはいえ、ヨーロッパの、それもイギリスやフランスのような日本との繋がりが特別濃いわけでもない国の学生が、ここまで日本文化と日本語に詳しいなんて、彼女は本当に日本が好きなんだなと思いました。

彼女が帰国したあとも連絡を取り続けていたのですが、ある日彼女が卒業論文を書くために手伝ってほしいことがあるとお願いしてきました。聞いてみると、なんと彼女は井伏鱒二さんの小説、「黒い雨」を題材に論文を書くとのことでした。

日本人でも理解が難しい部分もあるだろうに、彼女の果敢な挑戦にひたすら感心しました。そんな彼女も無事に論文を書き上げ、大学を卒業したようです。

パーティーではキメキメ、寿司好きな感じも、外国人ならでは

しかし、彼女もやはりヨーロッパの文化で育ってきたという背景ゆえ、学内でパーティーがある時の服装は日本人のそれとは全く違うものでした。

普段そんなに化粧をしない彼女ですが、パーティーの時は1時間以上かけてお人形さんのようなばっちりメイクをしていました。顔の彫りが深いからこそ、とてもエキゾチックで美しいなと感じました。

服装も、背中が透けている上に下着が見えそうな丈の短いワンピースを着ていて、日本人はこれを着ることはできないだろうなと思いました。私がすごくセクシーだねと言うと、彼女はありがとうと言ったあと、日本の女の子は細くてきれいなんだからこういうの着ればいいのに、と言いました。

実際、彼女に限らず留学生の服装の露出度は総じて日本人のそれよりも高いです。日本ではあまり露出をしないのが普通のことですが、これも日本と外国の差なのかなと思いました。

それから、彼女は日本の食べ物、特にお寿司を絶賛していました。生の魚が食べられるなんてうらやましい!とよく言っていたので、これが当たり前だと思って生きてきた私には衝撃でした。

そんな日本人より日本人なルームメイトとの生活は、私に改めて日本文化を学びたいと思わせてくれ、また客観的に日本を見つめるきっかけになりました。