サブカルチャーだけではない、おそるべし日本文化

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

サブカルチャーだけではない、おそるべし日本文化

私は40代の専業主婦です。これからお伝えするエピソードは、大阪府にあるライブハウス「ZEPP NAMBA」という場所で今年体験した話です。

一人でアーティストのライブに行くようになると、たいてい、チケットの関係で、一人で来ている人が隣になることが良くあります。ZEPP NAMBAでライブが行われる際は、アリーナと言って前方でスタンディングで見るエリアとは別に、指定席が取れる場所があります。

私は、もう前にいってぐいぐいと楽しむ年齢ではなくなっていますので、そういう形式の会場の場合は、指定席を取ります。入ってからのドリンクの準備とか、座席のチェックなどがあるので、通常、入場時間より少し早く行きます。加えてグッズ販売に並ぶ場合はさらに早くなります。私が、席を探して座る時には、スカーフをまいた彼女は、私の隣の席にすでに座っていました。

その女性はインドネシア人から来たそうです。彼女は、おそらく宗教上の戒律があるのか、頭をスカーフで隠していました。私が1人でライブに行った時にたまたま彼女も1人で来ていました。そして、たまたま隣同士に座ったのです。

私は、関西で行われる好きなアーティストのライブには、チケットが取れるとできるだけ行くことにしています。ですから、今年も既にこのライブ会場には、何回か行っていました。いつもながら、一人での鑑賞です。ですが、お隣に座る人が外国の人だったのは、その時が初めてでした。

私が自分の席に向かう時にこちらを見ていたので、「すみません」とあいさつして彼女の前を通り過ぎようとすると、彼女はとても人懐こい笑顔で席を通してくれました。私も、一人での参加なので、隣が女性だと気を楽にして安心して席に着けます。

頭をスカーフで巻いているのは、おそらく宗教上か何かのことだと思います。彼女が相変わらずこちらを笑顔で見てくれているので、「よくライブには来るのですか?」とさりげなく聞いてみました。彼女は、「はい」と言っていろいろ話をしてくれたのです。

それから彼女は、自分は介護老人ホームで介護をしていること、日本が大好きで、日本に来たことを教えてくれました。最近、メディアなどでも介護職員が足りずに外国の人を呼んでいるという記事があったことを思い出しました。そして、言葉もわからず、文化も違う日本で仕事をするのは大変ではないのかともききました。

そうしたら、彼女が自分の勤めている老人ホームのおじいちゃんやおばあちゃんが大好きだと言います。すごく不思議な感情がありました。日本では老人ホームでの仕事に就くことはあまり人気のある仕事では、ありません。しかし外国からきて日本のおじいちゃんやおばあちゃんを大事にしてくれていることがとてもありがたい気持ちになりました。

さらに、彼女は日本のポップカルチャーが好きということで、今日とは別のアーティストのライブに、明日も行くとキラキラした目でおしえてくれました。

日本人の私からすると、カルチャーの類は、アメリカやヨーロッパが発信源で、日本はそれの後に続いているような気持ちでした。しかし、彼女にとっては日本が憧れの対象となっていたのです。

そして、彼女が言うには、日本が特別で大好きだというところがあります。それは、ライブなどで座席から立つときに誰も自分のカバンを持たなくても大丈夫なことだそうです。

私達としては、カバンを持っているとただ邪魔になるので、座席に置いている、というだけの感覚です。それが彼女の国では、体から手を離したらモノが確実になくなるのだと言っていました。そんなこともあり、ライブなどでも自由に立ったり座ったりできる日本が大好きなのだそうです。

私たちにとっては、気が付かないごく普通のことが、外国では違うのだなと思ったライブの夜でした。