ここは大都会東京なんだけど!!

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

ここは大都会東京なんだけど!!

超マイペースなマレーシア人男性

私は現在46歳のパート主婦です。このエピソードは、今から20年以上前、同じ大学に通っていたマレーシア人男性の話です。彼は、日ごろから突然私の自宅を訪問したりして、人を驚かせて笑わせるのが好きな人でした。

彼は大学卒業後、母国マレーシアに帰っていましたが、それから数年たった真夏のある日、いきなり私に電話をかけてきました。そして「今、東京に来ているんだ。帰国の飛行機の便まで少し時間があるから、これからすぐに会おう!」と言い出したのです。

相手の事情などおかまいなしで、一方的なタイプの人なのです。しかし、そうは言っても、せっかく日本に来ているのだし、会わないわけにはいかないだろうと、私は待ち合わせした東京駅へと急ぎました。

彼は長身で180㎝以上、顔は強面の上に声が大きいので、周囲の人間からはどちらかというと敬遠されやすいタイプの人間です。そんな彼ですから私は彼を東京駅ですぐに見つけることができました。しかし、ここからがドキッとさせられた事件の始まりです。

ここは大都会東京なんだけどー!!

彼は、混雑の中、「おーい!」と大声で叫びながら両手を大振りし、私に向かって一直線に走ってくるではありませんか。いくら数年ぶりの再会とは言え、そんな大きな人が速足でこちらに向かってくると、こちらはちょっと逃げ出したくなります。

そして、さらにびっくりしたのは彼の服装です。彼は下着のような白いTシャツとかなり薄い短パン姿で、その上サンダルを履いていたのです。確かに日本の夏は蒸し暑く、外国人に不評なのは知っていましたが、彼の恰好はこの大都会東京でかなり浮いていました。

一方私はというと、久々の再会ですから、オシャレに気を配って可愛らしい服装をしていました。そんな私たち二人が並ぶと、なんともアンバランスで、通りすがる人が次から次へと不思議そうに私たちを眺めていきました。

そして、彼の次なる爆弾が来ました。おもむろにリュックから巨大なタオルを取り出し、首に巻き付けて汗を拭き始めたのです。「なぜハンカチや小さめのタオルじゃなく、巨大スポーツタオルなの?」と思わずにはいられませんでした。

そして、彼は「もう二度と夏に日本には来たくないね。みんなよく息ができているよ」と笑いながら汗だく状態で話してきました。確かに、日本の夏の湿度は異常です。しかし、それ以上に私は彼の服装に開いた口が塞がりませんでした。

当初の私のドキドキ感はどこへいったのやら、彼の猛ダッシュから始まり、まるで中年男性の風呂上りかと思うような服装と巨大タオルに、とにかく文化の差を感じずにはいられませんでした。もしこれが日本人男性だったとしたら、おそらく一目散に私は逃げていたことでしょう。しかし、彼は私の大切な旧友でもあり、文化の異なる国から来た外国人であるがゆえ、私もなんとか寛容に対応できたのだと思います。

彼のような自由な存在も、時には必要?

じつは彼と別れた後、「日本人ってこの暑い中、ちょっと気取った格好しすぎてるのかも。もっとナチュラルでいてもいいのかもなぁ」と思ったりもしました。周囲の人間の目など気にもしない彼と久々に会って、なんだかとても新鮮で幸せな気持ちが残ったのは、彼が私にひとときの安らぎをもたらしてくれたからなのかもしれません。この都会で疲れ切った私には、彼のような自由な存在が必要だったのかもしれません。

最後に私が外国人の彼から聞いた日本についての指摘をお話しします。彼曰く、多くの外国人が思っていることのようですが、日本人は他者に必要以上に気遣いしすぎるそうです。日本人は親切心でしていることなのでしょうが、多くの外国人にとっては慣れていないせいなのか、それが窮屈に感じてしまうことがあるようです。丁寧なのはよいが丁寧すぎる、ということのようです。これも文化的背景や社会的背景からくるものでしょう。