熱いハートのモンゴル人

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

熱いハートのモンゴル人

バイト仲間のモンゴル人留学生

私は現在30歳のフリーターです。今から6年ほど前、コンビニでアルバイトしていたときに、あるモンゴル人と出会いました。彼は21歳の留学生で、大学に通いながら私と同じコンビニでアルバイトしていました。彼のほうが先輩でした。

彼はとても日本語が上手で、ジョークを連発したりして、いつでも楽しい雰囲気を作ろうとしていました。日本語をマスターする為に、彼なりに努力していたのだと思います。彼と働いていて感じたのは、モンゴル人のパワフルさでした。

彼の他にもモンゴル人の同僚がいて、とても仲良しだったのですが、そのじゃれあい方が激しいのです。まるで虎がじゃれあっているかのように、激しいボディタッチのやりとりが行われていました。

日本人であれば、険悪なムードになってしまうぐらいの勢いで肩パンチしているのですが、パンチされた側はニコニコしていて、また同じぐらいの勢いでパンチを返すのです。ここに、歴史で学んだ豪傑チンギスハンを思わせる、たくましいモンゴル人の姿を見た気がしました。この感覚は日本にはないな~、と文化の違いを感じた日常でした。

ある日、事件が…

ある冬の寒い夜のことでした。当時私は夜勤をしていて、朝まで働いていました。その日、そのひょうきんなモンゴル人の彼は準夜勤のシフトで、深夜の3時頃に帰る予定でした。深夜2時ぐらいになったころ、ある外国人のお客さんが来店しました。

そのお客さんは2人組で、カップラーメンを購入した後、店内のポットでお湯を入れていました。ここまでは店内のサービスの範囲内だったのですが、あろうことか、店内でそのままカップラーメンを食べ始めたのです。現在では店内で食べられる店舗も増えてきましたが、私の働いていたコンビニでは禁止されている行為でした。

私とそのモンゴル人は、その2人組に注意をしたのですが、彼らは従ってくれませんでした。私は店内で食べられない理由を説明し続けていたのですが、次第に険悪なムードになってきて、ついに彼らの内の一人が暴言を吐いてきました。

私は慣れていたのでなんてことなかったのですが、それに怒ったのが隣にいたモンゴル人の彼でした。そこから彼とその2人組の間で口げんかが始まってしまったのです。私としては落ち着いてほしかったのですが、やはりそこはモンゴル人、そのパワフルな気性に一度火がついたら止まりません。しばらく口げんかは続いたのですが、たまたま警察の方が来店したことで解決しました。

警察の方がそのモンゴル人の彼に対して、「どうして口げんかしたの?」と聞くと、「仲間と国を馬鹿にされたから」だときっぱり言いました。実はその口げんかの合間に、その2人組はモンゴルを馬鹿にする発言をしていたのです。彼が怒った理由として、はっきりとそう言い放った姿からは、なにか誇り高いものを感じました。

仲間を想う心、国を想う心

もし私が日本という国を馬鹿にされても、そこまで怒れないだろうなあと思ったのです。仲間や国を大事にして、それを馬鹿にされたらはっきりと怒りを示すというストレートさが、とてもカッコイイものに見えました。モンゴル人はパワフルなだけでなく、仲間を想う心と、自分の国を想う心も持っているのだと実感しました。

その後彼は、「日本人ってあまり怒らないね」といいました。「そこがちょっとよくない」と指摘され、それはそうだなと納得しました。どこか骨抜きにされてしまっている部分が日本人にはあって、それが外国人に軽く見られがちな原因なのかなと思いました。モンゴル人の彼ほどパワフルにはなる必要はなくても、グローバルな社会になっていくなかでは、そのストレートさは見習った方がいいなあと感じました。コンビニアルバイトから得たひとつの経験でした。