台湾人のお客様

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

台湾人のお客様

居酒屋のアルバイトで出会った台湾からのお客様

この出来事は今から2年ほど前、私が25歳の時に、大阪の観光地にある居酒屋で働いていた時のことです。ある台湾人のお客様が、なぜか私のことをとても気に入ってくれました。

元々観光地のため、外国人のお客様が6~7割を占めていました。彼らはお店のタッチパネルの使い方がわからないようでしたが、日本語も英語もあまり通じなかったため説明がうまくできず、お互いのラインを交換して翻訳ツールを使って注文を取ったり要望をお伺いしたりしていました。そのためか、そのお客様と接する時間が長くなって仲良くなり、ほとんどその席の用事は私一人で対応していました。

そのお客様は、日本語がわからなくてもとても楽しんでいただけていたようでした。お酒も入ってかなりテンションも上がっていたようで、私に一緒に飲もう!とまで誘っていただくほどになっていました。そこまで言っていただくこと自体、日本人のお客様が相手ではなかなかないことなので、外国人ならではだなーと思っていたのですが、さらにびっくりしたのはお会計の時でした。

席で会計をし、4500円のお釣りをレシートとともにお返ししようと席まで持って行ったのですが、そこでお釣りの受け取りを拒否されたのです。訳がわからず困惑したため、ラインを使って訳を聞いてみると「君にあげるよ!」とのことでした。当然そのようなお金をもらうわけにはいかないので、丁寧にお断りしたところ、そのお客様は「これはチップだよ!」と言われたのです。日本にはチップの習慣がないのでびっくりしてしまいました。

チップをあげる、と言われても…

日本にはチップの考えがないことを説明して何度もお断りしたのですが、お客様も「あげる」と言って譲らなかったので、最終的にはありがたくいただくことにしました。お帰りの際に「また来てください」と声をお掛けしましたが、台湾から旅行で来ているとのことだったので、正直もう来ることはないだろうと思いながらのご挨拶でした。

しかし、それから3週間ほどしたころ、そのお客様から「〇〇日はお店にいますか?お店に行きます。」とのラインが来ました。そして本当に再度のご来店。この時はご家族、親戚を連れて総勢16人でわざわざ日本に来日してまで来てくれたとのことでした。

まさかの再来日・再来店

日本人も律儀だとは思いますが、「社交辞令」という言葉が存在しているように、本当に再度の来店をされる方は珍しいのです。この方が特別律儀だったのかもしれませんが、チップの時といい、わざわざ来日してまでの再度のご来といい、かなりの衝撃とともに日本人との違いを感じさせられました。

この時もラインでのやり取りで接客をしておりましたが、このわずかな期間にほんの少しではありましたが日本語や英語を覚えてきてくださったようで、日本語での会話もすることができました。私と少しでも会話をしようと、日本語を覚えてきてくれたようでした。

そのときに「日本人は消極的でノリが悪いよ!もっと普段からなんに対しても楽しまなきゃ!もったいないよ!」と言われた思い出はいまだに胸にあります。そこまでしてくれる日本人には出会ったことがなかったためびっくりしたと同時に、なんでも楽しんで学んだり行動したりしているこの台湾人のお客様の言葉は、今までなんにでもやる前から失敗したときを想像してはしり込みしてしまっていた私にはとても刺さりました。

また、そのお店の土地柄か、ボトルを頼んで飲むお客様は少数派なのですが、この方はお友達と4人でご来店されたときボトル3本の焼酎を飲まれ、金額は全く気にしてませんでした。その人いわく遊ぶときはお金を気にして遊んでも楽しくないから気にしたらダメ!とのことでした。「日本人は働きすぎでお金を使わず遊びも足りてない!」と言われ、私は今までこれが普通と思って生きてきましたが、世界は広いんだと改めて思い知らされた経験となりました。

なんにでも楽しさを見出すことを教えてもらった今は、子育てを手探りながらに楽しんでいます。