赤ちゃんを缶に詰め込んだ!?

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

赤ちゃんを缶に詰め込んだ!?

同い年のアメリカ人の女の子と友達に

私は現在35歳営業職の女性です。

今から約22年ほど前、まだ私が学生の頃、祖母と母の共通の知り合いでアメリカ人の一家が、夏休みを利用して日本に旅行に来ていました。そのご家族は、おばあ様が日本人。おばあ様とおじい様は、もともと日本に住んでいたこともあり大の日本びいき。そして、そのお孫さん(女の子)がちょうど私と同い年で、初めての日本旅行ということで、仲良くしてあげて、と紹介されました。

そのお孫さんは、さすがアメリカ人。縦にも横にもビックサイズというかグラマラスで大人っぽく、日本人の中でも童顔の私から見るとだいぶ年上に見えます。向こうもこちらが年下に見えたようで、びっくりしながら日本語ができるおばあ様に確認していました。(実際には何と言っていたか聞き取れなかったのですが、彼女のリアクションと、おばあ様が「あなたの年を聞いて信じられないと驚いているよ」と教えてくれたことで分かりました。)

お互いに同い年であることに半信半疑だったものの、年齢確認ができたところでようやく少し打ち解けられた私たち。と言っても、私は英語が出来ないですし、彼女は日本語を話せません。

スケッチブックを使って意思疎通を試みる

常に英語と日本語ができる人にいてもらう訳にもいかないので、私たちはスケッチブックを使ってお互いの意思を伝えることにしました。これならば言葉が伝わらなくてもイラストで気持ちを伝えられると思ったのです。

しかしこれは残念ながら失敗に終わりました。彼女の描く絵はとても独特で、何が言いたいのかさっぱり伝わってこないのです。

私は絵が得意だったこともあり、私が描くイラストの意味を彼女はすぐに理解してくれて、かつ「すごい!上手!」とリアクションをしてくれるのですが、反対に、彼女が描くイラストは、いわゆる「画伯」的なイラストで、どうにも私には意味がさっぱり伝わってこないのです。

おばあ様が「アメリカ人はあまり絵が上手くないからねー」と仰っていましたが、まさにその通り。彼女は「日本人は絵が上手だね~」と言っていましたが、正直、日本人が上手いというよりも、アメリカ人…というか、アナタの絵心がちょっとアレなんじゃ…と思った記憶があります。

日本の漫画に夢中になった彼女。ところが・・・

ともかく、こちらのイラストは理解してもらえるようなので、日本の漫画なら楽しんでもらえるかもしれないと思った私は、その時読んでいた漫画を彼女に渡してみました。
「かわいい絵!」というような反応をした彼女はすぐに漫画に夢中になったのですが、あるシーンで「オーマイガッ・・・!」とつぶやき、すぐさまおばあ様の所に駆け寄っていくではありませんか。

さすがに私の英語レベルでも「オーマイガッ」は聞き取れたので、何か変なシーンでもあったかなと心配になりました。するとおばあ様が笑いながらこちらに来て言いました。「この子、このシーンを見て、赤ちゃんを缶に詰め込んだのかと思ってびっくりしたんだって!」

えっ!?何のこと!?そんなシーンないのに、と今度は私がびっくりする番です。
私が彼女に渡したのは「赤ちゃんと僕」という漫画。その中で主人公が粉ミルクの缶を見つめるシーンがあるのですが、どうやら絵だけで読んだところ、「主人公が弟を缶に詰め込んだ」と彼女は勘違いし、かわいい絵柄なのになんて内容の漫画だと思ったらしいのです。

いやいや、そんな訳ないでしょ!どうやったらそんな解釈になるの?と驚きました。
後で聞いたところ、漫画のコマを読む順番などがわからなかったようで、かなりめちゃくちゃな順番で見ていたことがわかりました。

当時は今ほど日本文化がアメリカで普及していませんでしたし、日本の漫画は日本語で読みやすいようなコマ割りになっていますから、英語の感覚と異なります。
そういうこともあり、言語もわからず、読む順番も間違えると、漫画でもとんでもない解釈が生まれるという事が判明した出来事でした。

滞在中は言葉こそお互いわからなかったものの、ジェスチャーでなんとなく通じるようになり、一緒に外で遊んだり近所に買い物に行ったりして楽しみました。その滞在中に、彼女は日本のお菓子にはまったようで、帰国後も何度か日本のお菓子を手紙と一緒に送りました。あれから一度も会っていませんが、私の中の良い思い出です。