「お大事に」が「カッコ悪いね」に

クスッ、ほっこり、外国人あるある話

「お大事に」が「カッコ悪いね」に

外国人の同僚の話

私は50代の主婦です。30代のころ、食器を海外から輸入して販売している会社で営業事務のOLをしていました。ある日、私はテニスをしていた時にひざをひねって痛めてしまいました。翌朝になっても治らなかったので、仕方なくひざにサポーターをして会社に行ったのですが、会社の制服がスカートだったので、歩くたびにちらちらとひざの白いサポーターが見えていました。

同僚で40代のハワイ出身の男性が、私のそのサポーターに気が付き、私を呼んで「ひざどうしたの?」と聞いてきました。私が「昨日テニスした時にひざをひねっちゃって」と言うと、彼はとても心配そうな顔で「カッコ悪いね」と言いました。きっと「お大事に、目立っちゃうから早く治ると良いね」と言いたかったのでしょう。私には彼の真意が伝わってきたので、笑いをかみ殺しつつ「そうなんです。カッコ悪いんです。」と言いました。

彼は、社内で外国企業と折衝をする重要な役割を果たしていました。日本に住んで3年くらいで、奥さんもアメリカ人、お嬢さんもインターナショナルスクールに通っていて家の中では英語の生活と言っていました。ですが、徐々に日本の習慣にも慣れてきて、日本語も少しはわかります。また、日本茶を飲んだり、いろんな和食も楽しめると言っていました。英語があまり得意でない私には、なるべく日本語で話してくれる、優しい人でした。

普段から彼とは仕事の話だけでなく世間話のような会話をしていましたし、一緒に飲みに行ったこともあります。ちなみに飲み会の席では、英語に訳してニュアンスを伝えるのが難しい日本語もあるので、もうひとりの外国人同僚に隣に座ってもらい、お互いの言うことを通訳をしてもらっていました。

そんなわけで、彼の真意を汲むことは決して難しくなく、私の怪我に対して「カッコ悪いね」と言われても特にイヤな感じを受ける事はありませんでした。でも、これがあまり親しくない人だと嫌な気分になっちゃうかもしれないなと思いました。日本語は難しいですね。きっと、私がなんとか話せる英語も、子供がたどたどしく話しているのと同じように聞こえているんだろうなぁと思いました。

外国人もお花見が好き

それともうひとつ、その職場で日本と外国の文化の違いを感じたことがあります。

桜が咲くと日本人は心ウキウキして、お花見の計画を立てますね。海外にはお花見の習慣はないそうで、外国人の同僚はとても不思議そうにしていましたが、昼間はあざやか・夜は幻想的な桜を見ながら、皆で食事をしたりお酒を飲んだりするのはとても楽しいと言ってくれました。

ヨーロッパやアメリカは桜の季節は寒いでしょうか。中国でも桜の花見の習慣はないそうです。意外な気もしますね。

その会社では、外国の取引先の人を招いて打ち合わせをするときは、なるべく桜の季節に合わせるようにしていました。どの国の人も喜んでくれるそうで、毎年の春の恒例行事になっています。日本人である私としても、外国のお客様が日本の桜を気に入ってくれると、とてもうれしい気持ちになりました。外国人の方にとって、桜の木の下で正座をすることは難しいようでしたが、ワインを抱えて胡坐をかいている様子から、心から日本を楽しんでくれていることがよくわかりました。イベントとしてのお花見だけでなく、普段のお昼休みにも、桜の木の下にシートを敷いてお弁当を食べたりしました。中には、お花見のお弁当を食べるようになって、おにぎりや煮物などの日本食を食べられるようになった外国人も多いそうです。おにぎりの梅干しを、お花見をきっかけにして知った方が、最初はあまりの酸っぱさに驚いたものの、その後すっかり気に入ったようです。意外な広がりを見せるお花見ですね。